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今、何故ダリア?


ここ数年、大振りの花が人気だ。
芍薬、八重咲きヒマワリ、カサブランカに代表されるユリやアジサイ等など・・・。
バラも花弁の多い大輪系、白いアバランシュやピンクのエスペランサ・・・・・!!
ヨーロッパの影響も少なからずあると思うが、なんと言っても日本人の生活様式が変わってきたのが一番の原因だと思う。


昔の日本家屋には、床の間があって敷居があって、壁で各部屋が仕切られていた。
では、現在は? バリアフリー、椅子での生活がほとんどで、畳の部屋すらない家があり、壁で仕切るということがほとんどなくなった。仕切りが必要なときは、家具やパーテーションがその代わりになり、出来るだけ大きな空間を使って暮らすと言う形に変わってきた。
そうするとどうだろう、大きな空間に映える花は必然的に大振りでインパクトの強い花になってくる。そんなこともあって、ここ数年ダリアが注目され始めてきた。


ダリアはキク科の球根植物で、品種・色数が非常に豊富で魅力的な反面、完全に開花しないと出荷出来ず、水保ちも悪い為、切花には不向きで花屋さん泣かせの花である。
その昔、ナポレオン一世の妃ジョゼフィーヌがこよなく愛した花、それがダリアだと言う。(彼女はバラの愛好家としては有名だが、バラを愛でる前、実はダリアにゾッコンだったそうだ)参考ブログ
そう言えば、ヨーロッパ絵画には花を描いたものが多いけれど、確かその中にもダリアは度々登場していたのを見たことがある。

では、ダリアの魅力っていったい何なのだろう? これは私個人の意見だが、やはり圧倒的な存在感と、幾重にも重なる花弁の優雅さだろうか、それに前にも書いたが、色数が豊富で花自体のフォルムも様々で見ていて飽きない。
私の子供の頃は、ダリアは庭で咲いている花で、花屋で買い求める花ではなかった。それに、その頃はそんなに色数も多くなかったので、さして興味を引く花ではなかったように記憶している。でも、時代の流れと伴に、宅地化の波が押し寄せ、ダリアが植わっていた空地や庭が無くなり、地球温暖化の影響で(こんな所にまで影響があるなんて思ってもみなかった)地中の温度が上がり、暑い夏の間に地中で球根が解けて無くなってしまったのだ。
でも、根強いダリアファンの育種家数人が、そんな不遇な時代の間も、大切な昔からの球根を守り、それらを掛け合わせて新しい品種を作り、育種し続けてきた。そんな努力が実を結び、ここ数年のダリアブームを支えているのである。

話は変わるが、みなさんは「黒蝶」と言うダリアをご存知だろうか?名前の通り、黒くて艶やかで気品に満ちたダリアの一品種であるが、驚いたことに、昨年私がダリアの品種発表会をお手伝いする時点では、この「黒蝶」を含む数品種以外は、市場内では品種名で取引されていなかった。と言うことは、大多数のダリアは、赤のダリア・ピンクのダリア・オレンジのダリア・白のダリア等など、品種名があるにも拘らず、色が代名詞となって扱われていたのだ。
「これって何かおかしい!」「ぜったいおかしい!」 私が花屋研修をしていたパリではあれだけポピュラーで秋の季節を代表する花が・・・・・!

それから私のダリア狂いが始まった。イベントの準備の為、育種家の方々の農園にお邪魔したり、生産地に赴き品種をチェックさせてもらい、一覧表を作り、展示の為の什器作りやアンケート調査の原稿作り等など、今思えば関係者の方々には本当にご迷惑をお掛けしてしまった。でも、皆さんのご協力のお陰でイベントは大成功、アンケートの結果は今年のダリアの作付けに多少なりとも反映させて頂いた。
少なくとも昨年に比べダリアを生産する農家は増えているし、それに伴って生産量も増加してきた。

今年もいよいよダリアの季節到来!!
どんな反響を呼ぶことになるのか、期待と不安を覚える今日この頃だが、今年も昨年に劣らぬイベントを企画中なのでご期待あれ!

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